水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)
クラレは樹脂メーカーとして、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)をエラストマーの主力製品に位置づけています。熱可塑性エラストマー(TPE)は、ゴムのような特性を示しつつ、加硫は不要です。SEBSは柔軟性があり、強度が高く、耐熱性や耐紫外線性に優れており、加工性が良好です。
SEBSの製造方法
スチレン・ブタジエン・スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS) ブロック共重合体 はスチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)の一種です。「SBS」と「SEBS」という2つの言葉は頻繁にそれぞれの化合物の特性を表すのに用いられます。
熱可塑性エラストマーの歴史は約半世紀前にさかのぼります。当時、アニオン重合を利用したブロック共重合体の合成手法が考案され、スチレンの繰り返し単位構造を有する精密な高分子鎖を作ることが可能になりました。これに、ブタジエンの繰り返し単位、それに続いてスチレンの繰り返し単位のブロックをつなぎ合わせることで、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合が合成できます。
SEBSはSBSに水素添加をすることで製造されます。ブタジエン部分のC=C二重結合に水素を付加することにより、エチレンとブチレンのミッドブロックが形成され、この結果、SEBSはSBSと比較して、熱安定性と耐候性が向上しています。
SEBSの強み
- 高弾性
- 熱安定性
- 耐候性
- 耐UV性
- 耐オゾン性
- 耐薬品性(酸、塩基、洗剤など)
- 良好な耐摩耗性
- 加硫工程が不要
- SEBSをベースにした化合物は二色成形にも使用可能
弱み
- SBSと比較すると高コスト
SEBSコンパウンド
SEBSをベースにしたコンパウンドは、樹脂製品の性能向上に貢献します。具体的には、SEBSはエンジニアリングプラスチックの衝撃強度改質剤として使用されたり、また透明なPPなどポリオレフィンへの軟化剤や強化剤として広く使用されています。スチレン系エラストマーとして使用される場合には、特性改良のため、オイル、充填剤、添加剤が加えられます。
〈セプトン®〉8000-シリーズ
〈セプトン〉 8000-シリーズは、クラレがアニオン重合技術を用い開発したSEBSです。水素添化スチレンブロックコポリマー(HSBC)で一般的なミッドブロック構造を持つ〈セプトン〉 8000-シリーズは、優れた選択肢となります。〈セプトン〉 8000-シリーズは、適度な引張強度をもち、接着剤、自動車部品、パーソナルケア製品といった用途に広く使用されています。
〈セプトン〉 8000-シリーズに関するご質問やサンプルのご請求については、以下のボタンからお気軽にお問い合わせください。
SEBSを用いたスチレン系エラストマーコンパウンドの特長
- 幅広い硬度の配合設計が可能
- 着色性
- 低比重
- 無可塑で軟質塩ビ代替可能
- 様々な成形方法を適用可能(射出成形、押出成形、ブロー成形)
SEBSコンパウンドの用途
- 熱可塑性エラストマーコンパウンド
- 雑貨、日用品
- 工業、建材用途
- 医療用品
- 自動車部品
- スポーツ用品、靴
- 3Dプリンティング
SEBSの耐候性についてはこちらの記事(Garcia-Garcia他 [2020年])をご覧ください。
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