Yoshihiro Morishita

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森下義弘
エラストマー事業部
マーケティング担当

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液状ポリブタジエン

液状ポリブタジエンは、主にタイヤやゴム製品に使用される液状の合成ゴムです。

その材料特性は分子量、組成、後処理によって異なりますが、液状ポリブタジエンはゴムと架橋可能な反応性可塑剤です。液状ポリブタジエンを含むタイヤやゴム製品は、優れた加工性と機械的特性を示します。

液状ポリブタジエン添加剤はその優れた効果から、タイヤ、ゴム製品接着剤およびシーリング材、塗料およびコーティング剤、印刷版、潤滑油やグリース、絶縁材料などの電子材料や包装材料などで、広く用いられている成分です。

合成方法:ブタジエンの重合

ポリブタジエンという用語は、単一の化合物を指すのではなく、1,3-ブタジエンの重合によって形成される多様なポリマー群を指します。この有機化合物は、ほぼすべての合成ゴムの製造に使用されており、さまざまな化石燃料から製造することも、エタノールから再生可能な方法で合成することもできます。

重合すると、1,3-ブタジエンからシス型、トランス型、およびビニル型のポリブタジエンがさまざまな比率で形成されますが、この重合を各種触媒を使って制御することで、特定の用途に最適な材料を製造することができます。また、ポリブタジエンは官能化または修飾によって、その特性をさらに調整することもできます。

固体ではなく液状のポリブタジエンを製造するためには、より低分子量のポリブタジエンを生成する触媒とプロセスを使用します。その場合の反応は、主にアニオン重合とラジカル重合になります。

シス型、トランス型、およびビニル型のポリブタジエンの濃度を変えることで、エラストマーにさまざまな特性を与えることができます。

液状ポリブタジエンの利点

液状ポリブタジエンは、以下に示すように多くの利点を持つ汎用性の高い化合物です。

  • NR、IR、SBR、BRなどのゴムと共加硫できる反応性可塑剤
  • ムーニー粘度を低減させ、加工性を大幅に改善
  • マイグレーションを低減させ、保存性と耐久性を向上
  • 高いグリップ性能
  • 電気絶縁特性
  • アルコール、酸、アルカリに対する耐薬品性
  • 低濃度の揮発性有機化合物(VOC)と低臭気
  • エタノールからの持続可能な製造が可能

液状ポリブタジエンの欠点

他のゴムやプラスチックと組み合わせず、単独で使用する場合、液状ポリブタジエンにはいくつかの欠点があります。

  • 油や溶剤に対する耐薬品性が低い
  • 耐熱性が低い
  • ほとんどの場合、石油化学製品を用いて製造

液状ポリブタジエンの用途

優れた材料特性をもたらす液状合成ゴムおよび添加剤として、液状ポリブタジエンはさまざまな用途で使用されています。

液状ポリブタジエンは自動車のタイヤに広く使用されており、耐摩耗性、転がり抵抗の低減、タイヤの長寿命化、燃費の向上を実現します。また、自動車用シーリング材構造用ポリマー接着剤の添加剤としても使用されています。

液状ポリブタジエンは可塑剤としても使用されています。 また、高耐久性ホース、熱硬化性ポリウレタン製品、印刷版 、履物ホットメルト接着剤、感圧接着剤、電子機器向け 断熱材、その他のゴム・プラスチック製品の添加剤として使用されています。

コーティング剤では、液状ポリブタジエンを使用することで、揮発性有機化合物(VOC)の濃度を下げることができます。固体フィラーを添加すると粘度が増し、コーティング剤として使いにくくなるため、液状ポリブタジエンは低VOC塗料の理想的な代替品です。

液状ポリブタジエンをコーティング剤に使用すると、塗膜の柔軟性が高まり、耐水性や耐薬品性が向上し、低温環境でも安定した性能を発揮します。

タイヤゴムは液状ポリブタジエンを配合し、グリップ性能、耐摩耗性、寿命を向上させています。
多くのコーティング剤や塗料がVOCを削減するために液状ポリブタジエンを使用しています

クラレの液状ポリブタジエン

クラレは、〈クラレ液状ゴム〉の製品ラインとして、幅広い用途向けの液状ポリブタジエン(L-BR)各グレードに加え、液状ポリイソプレン(L-IR)および液状ポリスチレン-ブタジエン(L-SBR) も提供しています。

クラレの液状ポリブタジエンは、無色透明でほとんど無臭の低VOC液状ゴムです。分子量によっては反応性可塑剤として使用可能で、多くの配合においてゴムやプロセスオイルの代替となります。

可塑剤として使用した場合、流動性に優れるクラレの液状ポリブタジエンはムーニー粘度を下げ、より効率的な混合を可能にし、時間と電力の両方を節約します。〈クラレ液状ゴム〉のグレードにはベースゴムとの共加硫も可能なものもあり、マイグレーションを大幅に低減します。これらの特性が相まって、生産効率の向上、電力消費の低減、ミキシング装置や製品の長寿命化、排出ガスの削減を実現します。

クラレの液状ポリブタジエンは汎用性の高い反応性可塑剤です。

低ビニル液状ブタジエンゴム

液状ブタジエンゴムとは液状ポリブタジエンのことで、ブタジエンを原料とする合成液状ゴムの一種です。これらのグレードの液状ポリブタジエンは、固形ゴムよりも分子量が低いものの、従来の可塑剤よりも分子量が高く設計されており、ゴムと共加硫し、ブリードアウトやマイグレーションを防ぐことができる優れた反応性可塑剤です。粘度や分子量のバリエーションが豊富なこれらのグレードは、自動車タイヤからゴム部品まで幅広い用途に適しています。ビニルの含有量が少ないためガラス転移温度(Tg)が低く、冬用タイヤ、スノーモービル・トレッド、コンベヤーベルトなど、寒冷地向けのゴム製品に特に適しています。

クラレの低ビニル液状ブタジエンゴムには3つのグレードがあります:L-BR-302|L-BR-307|L-BR-305

特長と利点

クラレのホモポリマー液状ブタジエンゴムは以下の特長を備えています。

  • 多様な粘度と分子量
  • 低いガラス転移温度
  • ブリードアウトとマイグレーションの防止
  • 無色透明、低臭気、低VOC
  • 強力な粘着性と接着性

用途

ホモポリマー液状ブタジエンゴムの用途

  • タイヤのサイドウォール、トレッド、クッション
  • 自動車用シーリング材、コーティング剤、接着剤
  • ホットメルトおよび感圧接着剤
  • 印刷版
  • 熱硬化性ポリウレタン改質
  • 反応性可塑剤

ブリードアウトやマイグレーションを抑制する高品質の反応性可塑剤が必要ですか?

クラレのホモポリマー液状ブタジエンゴムの各グレードの詳細については、下記のお問い合わせフォームから弊社エキスパートへお問い合わせください。

高ビニル液状ブタジエンゴム

クラレの高ビニル液状ブタジエンゴムの2つのグレードは、ビニル含量が高いため架橋効率が高く、EPDMゴムの過酸化物硬化用助剤として使用できます。EPDMゴム配合物では、TAC(トリアリルシアヌレート)などの助剤を使用して硬化速度を高め、圧縮永久歪みの改善が行われています。しかし、高ビニル液状ブタジエンゴムのこれらのグレードを助剤として使用すると、ブリードアウト、臭気、VOC排出といったTAC使用に起因する懸念を抑制することが可能になり、同時に優れた硬化速度と最適な圧縮永久歪みを達成することができます。

クラレの高ビニル液状ブタジエンゴムには2つのグレードがあります:L-BR-352|L-BR-361

特長と利点

クラレの高ビニル液状ブタジエンゴムグレードは、以下のような特長を備えています

  • EPDMゴムの過酸化物硬化のための助剤として使用可能
  • 硬化速度の向上
  • ブリードアウトとマイグレーションの防止
  • 無色透明、低臭気、低VOC
  • EPDMゴムに最適な圧縮永久歪、高硬度、加工性の付与

用途

高ビニル液状ブタジエンゴムは以下の用途に理想的です。

  • 自動車構造用接着剤
  • ホース、シール、ケーブルなどの自動車用ゴム部品

構造用接着剤、EPDMゴムなどに高ビニル液状ポリブタジエンが必要ですか?

高ビニル液状ブタジエンゴムの各グレードの詳細については、下記のお問い合わせフォームからクラレのスペシャリストにお問い合わせください。

シラン変性液状ブタジエンゴム(GS-L-BR)

この液状ブタジエンゴムの官能化されたバリエーションは、他の〈クラレ液状ゴム〉製品と同様、タイヤゴムへの理想的な添加剤です。GS-L-BRはタイヤゴムに広く用いられるフィラーであるシリカの分散性を向上させ、耐摩耗性、燃費、グリップ性能、寿命を向上させます。

クラレのシラン変性液状ブタジエンゴムは、シリカ充填タイヤで優れた性能を発揮します

特長と利点

タイヤなどのシリカ充填ゴムコンパウンドにGS-L-BRを使用すると、以下のことを提供できます。

  • フィラー・ポリマー間の相互作用の増大とフィラー間の相互作用の低下
  • シリカフィラーの分散性向上
  • グリップ性能と耐摩耗性の強化
  • タイヤの寿命と燃費の向上

用途

GS-L-BRは、以下の製品への添加剤として最適です

  • タイヤゴム
  • その他のシリカ充填ゴム製品

シリカ充填ゴムに最適な液状ポリブタジエンをお探しですか?

シラン変性グレードGS-L-BRの詳細については、下記のお問い合わせフォームを使用してクラレのスペシャリストにお問い合わせください。

液状ポリブタジエンの市場

VOCレベルの低いコーティング剤への需要が強い自動車産業やプラスチック産業での堅調な使用により、液状ポリブタジエンの世界市場は成長すると予測されます。

世界の液状ポリブタジエン市場は、2024年には3億9,380万米ドルに拡大し、毎年6.1%ずつ成長して2035年には7億5,570万米ドルに達すると予測されています。これは主にコーティング剤と塗料での使用が増加するためです。(Fact.MR、2024年:液状ポリブタジエンの市場規模、シェア、統計 2035年)

中国、ドイツ、その他の国々でのコーティング剤と自動車部品のニーズの高まりが、需要の主な牽引役となると予想されます。液状ポリブタジエンの主要サプライヤーは東アジアと米国に集中しています。

安全性と取り扱い

液状ポリブタジエンは比較的安全な物質であり、一般的な安全対策で容易に加工できます。皮膚や目に触れないようにし、換気の良い場所で使用し、飲み込まないように注意してください。液状ポリブタジエンが発火した場合、有毒ガスが発生する可能性があるため、適切な保護具を使用して直ちに消火する必要があります。こぼれたポリブタジエンは、吸収性の良い材料で簡単に拭き取ることができます。その後、適切に廃棄してください。新しい化学物質を取り扱う前には、必ず安全データシートを参照して、詳細情報を確認してください。

換気の良い場所で、個人用保護具を使用して化学物質を取り扱ってください

よくある間違い:ポリブタジエンとポリスチレン-ブタジエン

これらの合成ゴムはどちらもブタジエンを原料としていますが、ポリスチレン-ブタジエンはブタジエンだけでなくスチレンとブタジエンの共重合によって生成されます。ポリスチレン-ブタジエンは最も多く生産されている合成ゴムで、タイヤなど多くのゴム製品の主成分として使用されていますポリブタジエンは合成ゴムの中で2番目に多く生産されていて、様々なゴムやプラスチックの添加剤として使用されています

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